茶祖礼讃

お茶のルーツは誰なのか?

ROT-010 薬祖神

神農

「薬祖神」とは、神農のことなのでしょうか?

これまで、神農を祀る神社を数社概観してみました。しかし、そのなかには神農ではなく、スクナヒコナを祀るところもあります。神としての性質は似ているのでしょうが、なぜこの名称の違いがあるのでしょうか?

まず考えられる理由には、神農は中国の神という点です。

明治政府による神仏分離令は、ご周知の通りかとは思います。これにより、神社境内に祀られる仏尊や外来の神々は、境内から排斥されるか、神名を塗り替えられることになりました。よくある例としては、牛頭天王があります。おそらく行者によって各地で夥しい数が祀られたインドは祇園精舎の仏教守護神ですが、明治以降はスサノヲに置き換えられています。

仏尊ではないにせよ、インド出身、中国出身というだけで日本神話には不相応ということから、日本の神に置き換えられた可能性です。

だから、神農はスクナヒコナに名を塗り替えられ、「薬祖神」と言えば神農からスクナヒコナへとシフトさせられた。とはいえ、完全にスクナヒコナへとシフトが完了せず、神農の面影や通称で残される点に、半ば強引なイメージシフトが企てられた片鱗が垣間見えます。

ところが、また別の理由が考えられます。