茶祖礼讃

お茶のルーツは誰なのか?

RPT-002 海瀧山王龍寺

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聖武天皇勅願寺。奈良は王龍禅寺へ参禅してきました。

まるで、山ひとつが行場だったような世界観。江戸時代に再興されてからは黄檗宗ですが、かつては密教色の濃い山寺だったようです。御本尊は、十一面観音菩薩。磐座かと思しき巨岩に彫られた、摩崖仏です。近年は、ご本尊が祀られる本堂で坐禅が行われています。

坐禅で用いられる木の棒、「警策」。坐禅に集中できないときのお仕置き道具だと、一般的にイメージされています。ところが、本来は真逆の意味があり、仏による励ましの道具だったのです。

坐禅を指導する禅僧は、警策を手にしたのち、仏前で一礼します。

「あなた様に代わって、参禅者を励まさせていただきます」

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仏は、その場から動くことはありません。だから、その励ましの慈悲を警策に宿します。つまり、禅僧は仏の慈悲が宿った警策を、参禅者の肩に触れさせていくのです。痛そうな音を響かせることにも、意味があります。その音、その衝撃で意識に芯が取り戻され、目が覚めたような感覚を得ます。音は響いても、痛みはなかったりもします。禅僧によっては、痛みを伴わない爽快音を鳴らすことも可能なのだとか。

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王龍寺の場合、警策に宿る慈悲は、密教行場の十一面観音菩薩の慈悲。だからと言って特別な利益を求めるのは本意ではありませんが、それでも有難さが別格な気持ちになるのもウソではありません。

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