茶祖礼讃

お茶のルーツは誰なのか?

ESN-007 栂尾

栄西の後の世代には、華厳教学の明恵がいました。言わずと知れた栂尾高山寺の茶園の祖です。 

 明恵 - Wikipedia

華厳宗 - Wikipedia

世界遺産 栂尾山 高山寺 公式ホームページ

高山寺 - Wikipedia

様々な派の教学を学び、華厳宗真言密教をミックスさせ、そのスタイルは華厳密教とも称されています。超宗派で学んでいく姿勢は現代的な感覚ではイメージしづらいのですが、かつてはそれが一般的だったようで、明恵はその典型とも言えるでしょう。だからこそ、栄西は日本臨済禅の祖でありながら、天台僧の一面も持ち合わせており、他の著名な僧も例に漏れません。
明恵は、栄西とは32歳差。諸派の教学に触れていったなかで、栄西から禅を学んだ経験もあるようです。そして、茶の種をも受け継いだとのこと。茶の種を栂尾に撒き、現代まで日本最古の茶園として継承されています。ほどなく編まれた『異制庭訓往来』では、良質な茶を輩出する茶園として、栂尾が第一に挙げられるほどの評判を獲得しています。仏教寺院と茶が強く結びついたことがわかる、代表的な例です。

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ただし、明恵は禅も学んだとはいえ、やはり華厳密教の人。栄西と同じく、茶は禅よりも密教との関連がより強く窺える茶祖のひとりです。